大判例

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東京高等裁判所 昭和38年(う)2056号 判決

被告人 井嶋キイ

〔抄 録〕

所論は、道路交通法第七六条第三項にいう「交通の妨害となる方法」とは、木材等を道路に置く場合、道路の側端にこれと平行しておかずに、これを道路の中央に置いたり、あるいは側端であつてもこれを直角又はこれに近い角度で置くような場合をいうものである、又「みだりに道路に置いて」とは、正当の理由なくして道路に物件を置くことであり、もちろんこれは具体的状況により社会通念上判断すべきであるが、本件のように雨の流れ入るのを防ぐためという目的があれば、「みだりに」ということはできないというのである。

しかし、原判示のように自宅店舗前のコンクリート舗装国道上に、その道路の側端から中央へ約一米ないし〇、八五米突き出して道路と平行に約八米にわたり、太さ約九糎四方角、長さ約六〇糎のコンクリート標杭一〇本ぐらい、太さ約一二糎四方角、長さ三、二五米の木材一本を順次並べ、さらに右コンクリート標杭の道路中央側に接着して空のリンゴ箱二個ぐらいを置いてこれを放置した場合(しかも、記録によれば、原判示のようにその時刻が夜で、雨天であり、その付近の照明が良好でなく、被告人方店舗付近には東方約一四〇米にあるガソリンスタンドの照明があるのみで、近くには街灯その他の照明がなく、被告人方店舗の煙草店の標識灯も点灯されていなかつた)には、たとえそれが降雨のため雨水が道路から店舗内に流入するのを防ぐ目的に出たとしても、道路交通法第七六条第三項にいわゆる「何人も交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」旨の規定に違反するものと解すべきは言をまたない。けだし、道路は、正当な理由のないかぎり、つねに全面的に自由な交通可能な状態におかるべきであつて、通行人がよく注意して避けて通ることができさえすれば何を置いても交通の妨害にはならないということができるものではもちろんなく、又自宅に雨水の流入するのを防ぐという一私人の勝手な便宜のため(その目的を達するには他に途もあるのに)公共の目的である道路交通の自由を害してもよいとする理由はとうてい考えられないからである。

(足立 栗本 上野)

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